「うつ」と復職について・・・その3

前回からの続きです。

で、復職の話になるのですが、専門医による薬物療法と、適度な休憩・休職により、2~3週間くらいで改善がみられ、ひと月くらい経つと体調も回復して、もと通り働けそうな”感じ”になるそうです・・・・・あくまで ”感じ” だそうです。!

この時点が要注意! 車で例えて、満タン時50Lのガソリンで500km走れる車が、まだ病、回復途中なわけで10Lのガソリンしか補給できていないと。

うつ病患者は頑張り屋さんだから、たまった仕事も片付けようと10Lのガソリンで500km全力で走ろうとするので、当然途中でガス欠またまたダウン。

復職しても1ヶ月も経たないうちに再度休業、これの繰り返して薬も当然増え、時には効きすぎて躁状態になり、今度は気分を落ち着かせる薬がまた増えるという悪循環になり、長期の休職から退職になっていくケースが多いようである。

そこで石蔵先生は、休職させないことが、復職問題の重要な解決方法だとおっしゃる。と言うのも本人に聞いてみると、たいがいの患者さんは何とか仕事を続けたいと言う。

石蔵先生の治療方法は、患者さんの了解の元、上司に連絡を取り理解してもらって、ひと月くらいは無理をさせないようしてもらう。もちろんその間もたびたび電話をして、こまめに経過観察をする。仕事の継続が無理と判断したときは、2週間程度の休職をしてもらうこともあるそうだが、多くの場合この方法で、休職することなく徐々に通常の仕事に戻り、数ヶ月で治療を終了、もしくは継続しても少しの投薬で安定してるそうです。

何ヶ月も休職すると復職のきっかけをつかめないそうだ。うつ病なのか、体が鈍ってるのかの区別もつかない。うつ病は改善しても、不安障害のために出社がうまくいかず、休職という蟻地獄からなかなかはい出せなくなり、休職期限も切れて免職になるからだ。

なるほど、医師がそこまで関与してリスクを半分?背負ってくれるんであれば、企業としても大事な人財を失いたくはないので協力は惜しまないだろうと思った。

リスクと言えば、数年前までは、多くの会社の就業規則で見受けられたのが、主治医診断書を提出すれば 復職とする規定になっていたと思います。主治医と 従業員の間では、 「先生、もう調子もよくなったので仕事に復帰したいので、診断書を書いてください、 無理をしないようにしますから。」 「わかりました、それでは診断書を書きましょう」 といった会話が交わされます。

3年前ですか、札幌高裁の過労死裁判では、会社側が、主治医診断書をもとに復職させ、産業医の意見を聞かなかったのは安全配慮義務違反だとして、会社側が敗訴しています。

本来、復職の可否判断は、病状については医師診断書、 職場の状況を知る立場の産業医の意見書をもとに、事業者が下すべきものです。この 原則は、身体疾患であれ精神疾患であれ変わりはありません。

主治医は、基本的に患者側 に軸足を置いているため、 患者から要望があれば、比較 的簡単に復職可能の診断書を 書きます。

産業医が、その診 断書に書かれた、医学的判断 と本人の作業内容を勘案した 上で復職に関する意見を述べ、 事業者責任で復職させるとい う流れになります。皆様の職 場の就業規則を、是非見直してください。