>>労働関係について(試用期間、変形労働時間、メンタルヘルスについて)
一定期間を定めて試しで雇ってみる期間のことで、この期間中に能力や技能、勤務態度・性格などの適格性をみて、正式な社員として採用するかどうか決めます。
試用期間というのは従業員にとっては不安定な立場ですから、ずっと試用期間ということは許されません。
試用期間の長さについては特に労働基準法等で決まりはありませんが、一般的には3ヶ月とか6ヶ月が妥当で、最長でも1年が限度と解釈されています。
適格性をみて、本採用を拒否することにした場合、法律上は「解雇」になります。つまり、試用期間中であっても解雇の正当性が問われるということです。
経営者の中には試用期間中の場合は「解雇」と認識されていない方もいらっしゃいますが、法律上は通常の解雇と余り変わりません。試用期間中でも入社して14日を超えている場合は、労働基準法上の解雇予告の手続きが必要です。
試用期間中の解雇は正社員の場合よりも比較的認められやすいですが、理由もないのに試用期間が終わったから解雇するというのは認められません。このような事を想定しているのでしたら、最初から期間を定めて雇用するようにして下さい。
本採用拒否の事由
裁判例では、次のような事由が本採用拒否の正当な事由とされました。
出勤率が非常に悪い(90%に満たない、3回以上無断欠勤した)、
勤務態度や接客態度が悪い、協調性を欠く等上司から再三注意を受けたが改善されなかった、それと経歴詐称です。
試用期間は教育や指導をする期間でもあるので、上のような不適格事由があったとしても、いきなりの解雇は認められず、その期間中に教育・指導をしたかが必要になります。
本人としても何も注意されなければ認められていると錯覚します。試用期間中は十分な教育・指導を行って、本人に不適格性を指摘しておかなければ解雇の説得力はありません。
試用期間の延長
試用期間を延長するためには、特別の事情があって本人の同意が必要です。
また、延長する期間を定めなければ本採用したと判断されますので、延長する際は必ずその期間を定めて同意書を取るようにしてください。
試用期間中の各種保険
試用期間中でも労災保険や雇用保険、健康保険・厚生年金については採用当初から加入しなければなりません。
労働基準法は、労働時間について休憩時間を除き1日8時間以内、週40時間以内と定めています(同法32条)。
これを超える時間を労働させる場合は、時間外労働となり時間外手当の問題が生じてきます。
業務によっては、上記法定労働時間がそぐわない場合があります。例えば、1ヶ月のうち前半は忙しいが後半は暇だとか、あるいは1年のうち夏は忙しいけど冬は暇だとか。また1週間のうちでも忙しい時と暇な時があるとか。また、24時間の中で交替勤務制のところは、1日の勤務時間が8時間を超えることは必要不可欠な場合もあります。そういう時は変形労働時間制を採用する事で法定労働時間を超えて就業させることができます。これは使用者にとって有利な制度ということができます。
【1ヶ月単位の変形労働時間制】
1ヶ月を法定労働時間に収めれば、特定の日が法定労働時間を超えても時間外労働にならないとするもの。
30日の月は171.4時間、31日の月は 177.1時間を超えないように勤務表を作成する必要があります。
【1年単位の変形労働時間制】
1ヶ月を超え1年以内の期間を法定労働時間に収めれば、特定の日が法定労働時間を超えても時間外労働にならないとするもの。
1年単位の変形労働時間制は、1ヶ月単位の変形労働時間制を採用する場合に比べやや厳しく、必ず労使協定を締結して、労働基準監督署長に届出をしなければなりません。
「管理職だから残業手当は必要ない?」・・・・・・。
よく言われることですが、会社内で管理職としての地位にある労働者でも、労働基準法上の「管理監督者」に当てはまらない場合があります。例えば、会社では「店長」を管理職と位置づけていても、実際に労働基準法上の「管理監督者」に係る判断基準からみて、十分な権限もなく、相応の待遇等も与えられていないと判断される場合には「管理監督者」には当たらず、残業手当を支払わないでよいということにはなりません。
また、「管理監督者」であっても、労働基準法により保護される労働者に変わりはなく、労働時間の規定が適用されないからといって、何時間働いても構わないということではなく、健康を害するような長時間労働をさせてはなりません。
「管理監督者」については、肩書や職位ではなく、その労働者の立場や権限を踏まえて実態から判断する必要があります。
労働安全衛生法(以下 法)第66 条の4には、定期健康診断において異常の所見
有りとされた労働者について、「事業者は(中略)医師または歯科医師の意見を聴かなければならない」と書かれています。健康診断個人票を確認してみて下さい。健康診断個人票には、医師の診断を記載する欄と医師の意見を記載する欄が設けられており、それぞれ、
医師の氏名を記載する書式になっています。この、医師の意見欄に、就業判定が記載され
ていなければなりません。この欄に記載される意見とは、要精密検査や要観察といった医療上の区分ではなく、通常勤務、就業制限、要休業という就業判定です。また、意見を述べる医師は、産業医が望ましいとされています。
さらに、事業者は医師の意見を勘案した上で適切な措置を講ずるとともに、これらの措置について衛生委員会等に報告することが義務付けられているのです。
長時間労働に伴う健康障害に関連して裁判になったケースを見ると、この健康診断事後措置、特に産業医の意見聴取が争点になっているケースを、しばしば目にします。経営上のリスク管理という観点からも、メンタルヘルス対策は無視できない問題です。
裁量労働制は「仕事のやり方、進め方を個人の裁量に任せる」制度ですから、会社から労働時間の拘束を受けたり、仕事を進める手段について細かい指示を受けたりすることなく、自由に働けるというメリットがあります。
裁量労働制は「この仕事内容なら通常これくらいの労働時間がかかるだろう」という「みなし労働時間」を決める制度です。仮にみなし労働時間が1日8時間であれば、1日に10時間働いても「8時間の労働」だとみなされるので、プラス2時間分の時間外手当は支給されません。ただし、深夜10時以降翌日の朝5時までと法定休日の労働については、法律で定められた割増賃金を支払う必要があります。その場合、深夜で2割5分以上、休日で3割5分以上の割り増しとなります。
「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律」【平成24年8月29日成立、施行期日:平成25年4月1日】で、・ 継続雇用制度の対象となる高年齢者につき事業主が労使協定により定める基準により限定できる 仕組みが廃止される。ただし、
現行の高齢法第9条第2項に基づく継続雇用制度の対象者を限定する基準を設けている事業主は、老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢に到達した以降の者を対象に、その基準を引き続き利用できる12年間の経過措置があります。
分かりやすく言えば、昭和30年7月4日生まれの男は、報酬比例部分の受給開始年齢が62歳ですので、それ以後は労使協定の条件を満たさなければ62歳以後の雇用義務はないということです。
パートタイム労働法の対象となる「パートタイム労働者」とは、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」とされています。
「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」など、名称にかかわらず、上記に当てはまる労働者であれば、「パートタイム労働者」としてパートタイム労働法の対象となります。
平成20年4月1日より、改正パートタイム労働法が施行され、通常の労働者と職務の内容及び人材活用の仕組みや運用などが同じであり、契約期間が無期契約(実質無期を含む)であるパートタイム労働者については、、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他のすべての待遇について、パートタイム労働者であることを理由に差別的に取り扱うことが禁止されています。
「労働契約法の一部を改正する法律」が平成24年8月10日に公布されました。
Ⅰ 無期労働契約への転換(第18条) 24年8月10日施行
同一の使用者との間で、有期労働契約が通算で5年を超えて反復更新された場合は、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換します。※ 5年のカウントは、このルールの施行日以後に開始する有期労働契約が対象です。施行日前に既に開始している有期労働契約は5年のカウントに含めません。
Ⅱ 「雇止め法理」の法定化(第19条) 公布日より1年以内に施行です。
有期労働契約は、使用者が更新を拒否したときは、契約期間の満了により雇用が終了します。これを「雇止め」といいます。 雇止めについては、労働者保護の観点から、過去の最高裁判例により一定の場合にこれを無効とする判例上のルール(雇止め法理)が確立しています。今回の法改正は、雇止め法理の内容や適用範囲を変更することなく、労働契約法に条文化しました。
Ⅲ 不合理な労働条件の禁止(第20条)
同一の使用者と労働契約を締結している、有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることにより不合理に労働条件を相違させることを禁止するルールです。